パリ・ニース(+モナコ、サンレモ)旅行記 ⑦ニース+モナコ、サンレモ編

2023/11/28~29 記

サンレモの翌日はモナコ公国へ。ニースからバスで30分、千葉のディズニーリゾートと同程度の面積しかない小さな国だ。カジノ・ド・モンテカルロに着いたのは13時過ぎだったと思う。シャルル・ガルニエによる建築でも名高い世界有数のカジノであるが、既に午前中の見学時間が終わっていた。あとから調べると午後の営業開始後にも見学できたようなのだが、すっかり見逃したものと思い込んで外観だけ写真を撮って立ち去ってしまった。ガルニエによる建築でもっとも有名なのはパリのオペラ座だが、こちらも改装中で見学できなかったので無意識下で諦めがあったのかもしれない。そもそも私は時間を予測し計画を立てその通りに実行する、というのがどうも苦手なのだ。

カジノ

観光案内所でもらえるなんちゃってパスポート。かつては本物のパスポートに入国スタンプを押してくれたらしい

モナコといえば金持ちの国である。車に詳しくなくても分かるような高級車が次から次へと通り抜けて行く。到着してすぐに、もしこれらの高級車に轢かれたとして貧乏旅行者の私を守ってくれる法律はこの国には無いのでは、と冗談半分で思ったのだった。物価が高くて食事もできないかもしれないと心配していたが杞憂だった。比較的安価なフードコートでタラとチーズを混ぜ込んだなにやら美味しいマッシュポテトとフランボワーズのタルトにありついた。食事をすると場所に身体が馴染むというのはサンレモでも同じだった。注文する際にコーヒーを買いにきていた隣の店舗の店員にうっかり声をかけてしまったのだが、食事中目が合うたびに微笑んでくれてそちらで買えばよかったなとも思った。モナコのフードコート、という非日常と日常コントラストのせいかこんなところで一人で一体何をしているのだろうと自分で自分が不思議だった。バックパッカーは毎日こういう気持ちなのだろうか?

おいしいけど食べているとなんか無心になってくる

前日の夜、ニースでは外出禁止の警報が出るほどの嵐だった。翌朝警報が解除されてからも、モナコ到着時にはパラパラと雨が降っていたが坂を登りに登って大公宮殿に着いたころには雲間から太陽が照り付け、高台からみる海は白く光っていた。大公宮殿は限定公開らしくまたしても見学出来ず、仕方なく土産屋でポストカードを1枚買った。光に照らされる山、海、街、湾、ボートがミニチュアのようで愛おしく色々なものが見れず終いであっても気にならなかった。

ピカピカに晴れた。歓迎されている!

お土産屋のウィンドウ。今更ちょっと欲しいな

「陽が高くなると地中海は白く光るので、青い海を眺めたければ朝が良い」とインターネットで読んでニース最終日は少し早起きをした。嵐も去ってすっかりいい天気だ。サレヤ広場の朝市を覗きつつ街を一望できる高台へと向かった。上まで行けるエレベーターが閉まっていたが大した距離でもないので歩いて登った。高いところからしひとしきり海や街を眺め、飽き、海岸へ降りて腰をおろし、再び海を眺めた。椅子を持ち込んで読書をするマダムや1人で泳ぐ若い男性。石浜に寄せる波がときおりこちらまで届きそうで怯みながら、iPhoneで音楽を聴きフィルムカメラで写真を撮って過ごした。ルーヴル美術館で観たモナリザのことを思い出して、普段あまり聴かない宇多田ヒカルを聴いた。