パリ・ニース(+モナコ、サンレモ)旅行記 ⑤ニース編

旅行から10日間ほど経ってからメモしていた備忘録の転載。

2023/11/01~06 記(写真は後から追加)

ニースのことを思い出してみる。なにより悔やまれるのはパリで貰ったらしい風邪をニースで拗らせ、さすがに生牡蠣を断念したこと。フランスの牡蠣はあたりにくいという噂もあるが、インターネットを探せば当然牡蠣やステークタルタル(生の牛肉に生卵をのっけたもの)にあたった話はいくらでもでてくる……。Ricola(どのスーパーでもだいたいレジ横に陳列されているのど飴)にだいぶ助けられたが、咳が止まず、安い当日券で覗いてみようと思っていたニースオペラ座も諦め、やたら美味しいモノプリ(大手スーパー)のパスタをホテルで大人しく食べる……という3泊だった。幸い日中動く元気はあったので、ニースで海を眺めるのに飽きたらバスや電車で国境をひょいと越え、モナコ、そしてイタリアのサンレモまで足を伸ばした。充分満喫。

高速鉄道でパリから5時間半、14時。ニース駅に降りたった瞬間、この身に覚えのある感じの正体はもしや"熱海の感じ"じゃないだろうかと思った。飲食店の多さや賑やかさで言うとむしろ湘南に近く、実際何故か鎌倉の姉妹都市らしいのだが、パリと比べたときの空気のぬるさと人々の力の抜け具合はやはり東京と熱海のコントラストを思い起こさせた。気配は感じるものの駅からは海は見えない。ひとまず重いスーツケースを転がして、メインストリートを下ってホテルへ向かうことにした。広い歩道。マクドナルドやデパートが並び、トラムが走っている。現代的だがお洒落ではない。パリと全然違う、それを知れただけでもう来た甲斐があったような気になった。

タクシーの車内から日の暮れた街並みに目をやりここはもうパリ市内なのだと気がついた瞬間の感激といったら凄かった。それに比べると地中海との対面はぬるりとしてやや味気ないものだった。海は海なのだ。それでも胸の奥がじわりと温かくなるのを感じた。地中海を見ずに死ねない(上司に休暇申請を出す際に付け加えた文言であるが)というと大袈裟に聞こえるが、死ぬまでにやりたいことリストといえばカジュアルだろう。ニースの浜は砂浜ではなく、砂利よりも大ぶりの滑らかな石で覆われた石浜である。神社の玉砂利みたいだがもっと大きい。波にさらわれない安全な位置で靴と靴下を脱いで、足を海水に浸してから、ホテルからタオルを持ってくればよかったと思った。それどころか日本から水着を持ってくればよかったとまで思った。見渡すとちらほらと泳いでいる人もいたからだ。

ニースの海岸

ボートかわいい

夕食(モノプリ)