パリ・ニース(+モナコ、サンレモ)旅行記 ④パリ後編

day4

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Rさんとのパリ最終日。Rさん作朝ご飯。「黄色尽くしになっちゃった……」と仰っていたが見た目も含めて素敵な食事だった。無糖のフレンチトースト(美味!)とRさんのミュンヘン土産の粉末スープ。Rさんのおかげでつくづく食事に恵まれた旅行だ。さて夕方のアフタヌーンティ以外の予定を事前に決めていなかったのだが、朝イチで並べば入れるのでは?というRさんの意見のもとまずオルセー美術館へ。前売りが売り切れだったのでRさんに提案されるまですっかり諦めていたのだが、開館30分前に並んですんなり入れた。ラッキー!

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有名絵画がごろごろあって笑ってしまう。パリ、すごい。

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オルセーを後にして、パンを齧りながら凱旋門へ。こういうのがやりたかったの……。

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さらに時間があったのでセーヌ川クルーズ“バトームッシュ“に乗船。これまでに回ったルーヴルやオルセーを懐かしんだり、エッフェル塔や再建中のノートルダムを船の上から眺めたりしてスタンダードながらとても楽しかった。橋の上にいる人と手を振りあうのも素敵。フランス語を話す人々も乗っていて、フランスのパリ外から遊びに来ている人たちだったのだろうか?

船から降りていよいよこの日のメインイベントであるオテル・リッツでのアフタヌーンティへ。オテル・リッツはパリ最高級のホテルで、歴史的にも著名人に愛されてきた象徴的な場所である。小説や映画にも度々登場し、wikipediaによるとビリー・ワイルダー『昼下がりの情事』(ぜひ見返さねば)やノエル・カワードの戯曲「Semi-Monde」(この作品は読んだことがないが、ノエル・カワード作品は大好きなのである)でもキーとなる舞台になっているらしい。

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ヴァンドーム広場に踏み入れた時点で映画の中でしか見たことのないようないかにもお金持ち、といった風貌の人が歩いているので緊張するが、高揚しつついざホテルへ……。正面の入り口から続く、廊下に面したごく小さなエリアがアフタヌーンティが行われる「サロン・プルースト」である。プルーストの『失われた時を求めて』では主人公が紅茶にマドレーヌを浸した際、その香りから幼少期を回想するという場面があるらしく(Rさんに聞きました)、サロン・プルーストでのアフタヌーンティもマドレーヌから始まる。

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給仕(と呼んで良いのだろうか?)によるサービスはごく滑らか。コートを預かってもらって着席したあと、テーブル上のナプキンをそのままにしていたら、くるくると巻かれたそれをなんとも優雅な手つきによってあっという間に私の膝の上で転がし広げてしまったのだ!それに彼は絹のように優しい、羽虫も逃げないような柔らかな、聞いたことのないような発声の仕方で話す。仕草や発声に感嘆するだなんて想定外で、まだ未体験の驚きが残されているなんて、とパリの底知れなさに浮き足だった。

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さてフランスのアフタヌーンティはイギリス式のと違って見ての通りとにかく甘い、甘い、甘い尽くしである。と言っても私にとってはこれが人生ではじめてのアフタヌーンティ、次はイギリス式をぜひ体験してみたいものだ。(スコーン……サンドウィッチ……。)

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アルフォート源氏パイだ、とRさんと囁き合った。誰かと行く旅行はこういうのが楽しい。持ち帰りたいと頼むと包んでくれるらしいが、気合いで食べてしまった。

ちなみに紅茶はTWGのリッツ限定のオリジナルフレーバー。数種類から選べる。私は"L'Hiver au Ritz"を。お土産に小さな缶に入った茶葉もくれるし、実はホテル内にTWGの店舗があって同じものがここでだけ買える。せっかくなので"Ritzy Breakfast"をお土産に買った。中庭も素敵らしいのだが、鍵がかかっていて出られないようだったので断念。

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ふわふわとした心地のまま、帰りがけにシェイクスピア・アンド・カンパニー書店に駆け込み。ヘミングウェイの『移動祝祭日』にたびたび登場する英米文学専門の書店で、映画『ビフォア・サンセット』や『ミッドナイト・イン・パリ』のロケ地にもなっている。ここで本を買うとスタンプを押してもらえたりトートバッグなどのグッズが売っていたりして、ちょっとした観光地となっている。

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私は「フランス語の本置いてないのね」なんて思って何も買わなかったのだが、今思うと『移動祝祭日』を買っておけばよかったな。本って重いからお土産に頼むわけにもいかないしね……。というわけで次からニース編です。書き切れるかな。