パリ・ニース(+モナコ、サンレモ)旅行記 ②パリ前編

day1

シャルル・ド・ゴール空港からタクシーでパリ市内のレストラン、Bouillon Racineへと向かう。頭の中で繰り返し練習していた簡単なフランス語のフレーズが口から出ず、英語で行先を伝えた。高速道路は混んでいて夕焼けはすぐに紺色に染まっていく。黙々と、少し進んでは停止するのを繰り返す車の列はノスタルジックで、何もかもが新鮮なはずのパリ市内に到着しても尚興奮のなかに懐かしさが混ざっていた。耳にはいる人々の話し声がフランス語で嬉しい。レストランのウェイターに座席に案内してもらう段になり、やっとフランス語を使うことができた。「友達を待っているの。」文法が合っていたかはわからない。Rさんがやってきて、ひとまず会えたことに安心しつつキヌアとアボカド、グレープフルーツとトマトの入ったサラダを注文。

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このサラダがあまりに美味しくて、微小な電流刺激を受けたみたいだった。この電流は旅行中たびたび味わったが、食べたものの美味しさで言うとこのサラダが旅行を通して一番だったかもしれない。チェックインが遅れそうだったのでホテルに電話すると「もう受け付けてないけど」みたいなことを言われて焦ったり(新規予約はできないという話で、あーチェックインは何時でもいいですよ。とのことだった。英語よ)ホテルへ向かう地下鉄の階段ですっ転んだりした(無傷)ものの、無事ホテルまでたどり着いた。階段で通りすがりの女性がスーツケースを運ぶのをにこにこ笑いながら手伝ってくれたり、その後も道端で人に助けてもらう機会があったりして、パリの人は冷たいという噂ってフランス人からもそれ以外の国の人からも聞いたことがあったけど、東京の人間からするとむしろあたたかいぐらいだった。

day2

日曜日。目が覚めてRさんと私がまず向かったのは近所の小さな朝市だった。パリで素晴らしかったことのひとつに、滞在中Rさんが作ってくれた朝ごはんがある。キッチン付きのホテルを選んだものの私は料理がまったくできないので、使うとしても果物を切ったりするぐらいかなと思っていたのだが、料理上手のRさんがさっさと野菜を切ったり卵を混ぜたり、バゲットをフライパンであたためたりしてくれ日々あたたかくておいしいごはんをいただくことになってしまったのだった。

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「わー、鳥の柄がフランスっぽいですね!あっ、鳩が一斉に飛び立つのって映画のインサート以外ではじめてみた!」などと買い物に行くため道を歩くのにもいちいち興奮。野菜売り場で手慣れた様子でトマトやピーマンを吟味しぽいぽいと紙袋に入れていく(量り売りなのだ)Rさんを尻目に、これなに?と紫の果物を指さし売り場のおじさんとフランス語会話を試みる。「○○(聞き取れない)だよ。めっちゃ美味しいよ」と言うのでそれも買って、あとで食べてみるといちじくだった。チーズ売り場でモッツァレラ、パン屋でクロワッサン、スーパーでベーコンやフルーツジュースを買ってホテルに戻り朝食をとった。土地が豊かで気候も良いからだろうか、野菜もチーズも味が濃い。世界史のことは詳しくないがヨーロッパが世界の中心だった理由がわかる気さえした。

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テレビをつけるとニュースではガザ地区の映像。この軍事衝突により旅行中フランス国内も観光施設や空港の爆破予告といったテロ予告を受けており、結果的に行程に影響はなかったものの不安も少なくなかった。なによりの目的だったルーヴル美術館もこの日の前日は爆破予告により閉館していて、無事行くことができたのはラッキーだった。爆破予告の翌日に行って平気だろうかと不安だったが、フランス語の先生が「普段通り過ごしてください」とアドバイスをくれたのと、Rさんが絶対に行きたいと決断してくれたおかげである。

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はじめてのルーヴルは感激しきりでとにかく時間が全然足りなかったということに尽きる。カメラを持っていると像のダイナミックな立体感や造形の細やかさを堪能できる気がして楽しかった。次回行くときはカメラを持たず、少なくとも丸1日かけてじっくり絵をみたい。

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ルーヴルみたいな美術館が近くにあったらどんなに良いだろう。本やインターネットで知るよりも前にこの美術作品の数々を生で見ることができる子どもがいるのだ。心底うらやましい。

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なぜか館内ガイド(?)に3DSが使われていた。

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Joconde(=モナリザ)ケーキ。これは可愛いけど、個人的にはフランスの愛おしいところとしてファンシーというか、ちょっとダサいお土産も平然と売っていることがあると思う。気取っていても隙があるというか。ピカピカ光るカラフルなエッフェル塔を売っているのを何度も見かけたし、大きいそれを抱えてにこにこ歩く観光客らしきカップルを見たときはいいなあ(欲しくないけど)と思った。

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ピラミッドを臨むカフェ・マルリー。新人ウェイターと思われる男性がグラスを落として割っていた。がんばれ。

午前中にヴァンブ蚤の市にも行った。フェーブでも買えたら良かったのだが、行った時刻が遅かったのもあり特に収穫がなく。大学時代に愛用していたサルバドール・ダリの香水のミニ香水瓶を見つけて、今思うと買えばよかったかな。シノワズリの置物が多いのがイメージにはなかったので面白かった。蚤の市からバスでルーヴルまで移動しようとするも、バス停に座っていたおじさんにジェスチャーで「このバス、来ないよ」と教えてもらい、じゃあなぜあなたはそこにいるの……と謎だった。

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夜は再びパン屋に寄り、翌日以降に食べるためのバゲットと、夜食のパティスリーを購入。タルトシトロンとオペラだったかしら。甘すぎるのにしつこくなくて平気で食べれてしまい恐ろしい。