Apr. 2020 祈りの季節

序文

あくまでミクロな視点でわたしたち、現在進行形で何を失って何を得ているのかしら。夜中に音楽をかけていると滅多に縁のないはずのDJやミラーボール、顔をぐっと近づけて話す男女。湿度。汗をかいたジントニック。みたいなものが恋しくなるのが不思議。たまに散歩にでると、こんなに水や緑や光って美しかったっけ、と驚く。

 

映画

映画をみていて何よりうれしい気持ちになるのは、役者の立ち居振る舞い、衣装、音楽、美術、台詞、の雰囲気というか、全体のトーンがカチッとハマっているとき。それはもう、好きな曲はイントロの10秒間で恋に落ちるのと一緒、冒頭の10分でわかってしまう。瞳と同じ色、サイズの合ってないジャケットを羽織るブラピ。と、サイズのピッタリ合った黒いスーツに身を包むブラピ、のふたりにたった1本の映画のなかで恋することができるんですよ。すごい。

今月はひとにすすめられた映画をたくさんみようと思って、いろいろきいたりしてたんだけど、ずっと家にいるとむしろ時間の使い方がむずかしい。『リリイ・シュシュのすべて』『半世界』『ファンタスティックMr.FOX』『ピーターラビット』『未来世紀ブラジル』『彼女がその名を知らない鳥たち』『ピースオブケイク』『ワイルドスピード』『特攻野郎Aチーム』などなど、おすすめのバリエーションが豊かでうれしい。来月に持ち越しですね。

 

米原万里旅行者の朝食』を読み終わって、さいきんおもに読んでいるのは有名な戦場カメラマン、ロバート・キャパの『ちょっとピンぼけ』。これがなかなか面白く、だって冒頭から映画監督のフランク・キャプラに勘違いされ、歓迎されてしまったがために数日間本人のふりをして過ごす羽目になる、というギャグみたいなエピソードが繰り広げられるのだ。けっこう引き寄せ体質なのかな、と思った。じゃなきゃカメラマンにはなれないのかもしれない。

数日前さんぽをしていたら本屋があいていたので、原田マハ『ジヴェルニーの食卓』、マーク・チャンギジー『ヒトの目、驚異の進化』、ヤンソンムーミン谷の彗星』を買った。ムーミンって、興味なかったのだけど「長い尾をひいた彗星が地球にむかってくるというのでムーミン谷は大さわぎ。」という書き出しの、裏表紙のあらすじに惹かれてしまった。未読の本が減らないのをわたしは「積読の恒常性〈ホメオスタシス〉」と呼んでいる。

雑誌アプリで読んだ最新号のPOPEYE東京特集がよくて、買っちゃおうかな、と考え中。

 

その他

"The Show Must Go On!"という企画で毎週末ウェバーのミュージカル作品が配信されていて、『ジーザス・クライスト・スーパースター』と『オペラ座の怪人』をみた。両作品ともそれぞれ劇団四季、映画、という形で高校生の多感な時期に出会ってしまっているものだから一生嫌いになれない、というかある程度彼には「愛」の概念を歪められている。『ラブネバーダイス』を見逃してしまってとっても残念。

この春から放送大学に入学したので、面白そうな授業を探しているのだけど、飯尾潤教授による『現代日本の政治』はふだんニュースをみてもぼんやりしてしまって困っているわたしにはかなりよさそう。教科書も買いました。

 

まとめ

恋によって自分が狂うのが怖いから、狂おしい感情を抱きうるあいてを遠ざけてみるものの、ポイントオブノーリターン。をひとたび越えれば落っこちるみたいに。なんの話かっていうと、近ごろずっと避けてきたのに我慢できなくなって岡村靖幸さんの曲ばかりきいています。という告白。天使と形容されてきたのがよくわかる。いまこの日本で新しい恋心をはぐくんでいるひとが一体何人いるんでしょうか。愛を守って生き延びようね。